2014年1月24日金曜日

きょうのできごと a day on the planet(2004年)



きょうのできごと a day on the planet

柴崎友香の単行本デビュー作を原作とした、日本映画。
監督・行定勲。出演・田中麗奈、妻夫木聡、伊藤歩、柏原収史。

大学生の何てことのない飲み会を中心に、ある1日を描いた物語。夜からはじまる1日というところが大学生っぽい!
世界が少しずつつながってる系の物語なので、もちろん好きなやつ。(“少しずつ”というところが結構、個人的ツボなのかもと最近気づいた。あくまで“少しずつ”。)

京都の友人宅で催された男4人、女2人の引越しパーティーを中心に物語が進んでいきます。劇的な展開はないです。はい。ないし、彼らには特に大きな事件は起きない(ある意味事件というような、酔っ払いの粗相はあるか 笑)。その外の世界では誰か別の人のの「きょうのできごと」が起きているわけで。
“おれらの知らへんうちにいろんなところで、いろんなことが起きてるんやな。”というセリフがあるように、誰かにとって何てことのない引越しパーティーの1日でも、別の誰かにとっては大変な1日だったりする。そして、じゃあ、それは無関係なことかって言われたら案外関わっていたりするんだよね。遠いところで。その距離感がすごくいい。

あと、“もうきょうが終わるね”や、“あしたになった”“違うよきょうになったんだよ”という「きょう」という会話がちょこちょこ出てくる。誰かの「きょうのできごと」が自分の「きょうのできごと」につながっているかもしれないし、「きょう」は「あした」につながっているし。世界は意識してないところで、色々とつながってつながってつながって続いていくんだね、というカタルシスを味わうことができるのではないだろうか。

と言っても、そんなこと日常考えないし、この映画自体も「つながってるんだよ!ね!ね!」なんて、感じはまったくない。「あ…言われてみればそうなのかもね。」というゆるいテンション。それが心地いい。



そしてこの映画の魅力は、モラトリアムまっただ中の大学生ということ!これを初めて観たのは高校卒業したばかりの春休みで、当時はそんなにおもしろさ分からなかったんだけど、今なら分かる。あの1日を経験した今なら分かります。

あの家はシェアハウスなのかな?とにかく、大きな家での飲み会、それぞれ勝手なことをし出す感じあるよね。髪切るやついるよね。ゲームするやついるよね。恋バナするやつ、機嫌悪くなるやつ、電話しだすやつ…ああ、いるいる。朝方なぜか出かけたくなるやつ、やりました。母校行きました。ふと、ニュース見て、「こんな事件あったの?」って、飲み会後の浦島太郎気分…なつかしい。


この映画を観ると、今なら思い出す風景があります。西新宿、方南町、桜新町、西永福、豪徳寺。何をするわけでもない「きょうのできごと」の先に今があるからこそ分かるようになった感覚なんでしょう。
そのいつか埋もれてしまうけど、記憶のどこかにはちゃんとある「きょうのできごと」という感じが、この映画にもあると思いました。

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