2014年6月30日月曜日

her 世界でひとつの彼女(2013年)




her 世界でひとつの彼女

「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の奇才スパイク・ジョーンズ監督が、「かいじゅうたちのいるところ」以来4年ぶりに手がけた長編作品。近未来のロサンゼルスを舞台に、携帯電話の音声アシスタントに恋心を抱いた男を描いたラブストーリー。他人の代わりに思いを伝える手紙を書く代筆ライターのセオドアは、長年連れ添った妻と別れ、傷心の日々を送っていた。そんな時、コンピューターや携帯電話から発せられる人工知能OS「サマンサ」の個性的で魅力的な声にひかれ、次第に“彼女”と過ごす時間に幸せを感じるようになる。主人公セオドア役は「ザ・マスター」のホアキン・フェニックス。サマンサの声をスカーレット・ヨハンソンが担当した。ジョーンズ監督が長編では初めて単独で脚本も手がけ、第86回アカデミー賞で脚本賞を受賞。(以上、映画.com


すごい好きです。
OSとの恋愛ってどんなSFかと思いきや、そんなことなくてむしろものすごく純粋に共感できるストーリーだった。


長年一緒にいた妻と別れ、孤独の中で恋愛やよろこびといった感情が凍ってしまったようなセオドア。毎日、仕事もするし、それなりに楽しく元気にすごしているし、デートだってする。
だけど、失ってしまった感情はそんなに簡単に戻せない。

セオドアが女の子とデートして(失敗するんだけど)、
「セックスしたいし、したいって思われたかった。そうしたら、自分は変じゃないって、大丈夫なんだって思える気がした。」って言うセリフがあるんだけど、すごいわかる!
何かを失えば、最終的には自分のせいだって、思考に達する。誰かにそんなことないといくら言われようと、それは抜け出すことのない思考で、自分ですら感じないくらい奥深くに根付いてしまうような思考。

そんなセルドアの心を開いていったのが、人工知能OSのサマンサ。
イヤホンを通しての会話で、どんどん距離(気持ちの距離)が近づいていくふたり。いろんなところ行ったり、いろんな話をしているうちに、OSはさまざまな感情が成長していき「恋愛感情」や「嫉妬」など人間の感情を覚えていく。セルドアの言葉では「彼女は人生にときめいている」と表現。

でも、そこのOSの感情が成長していくところがフィーチャーされてるんじゃなくて、そのOSの成長を通してセルドアの感情がゆるやかに変化していくっていうところを大事に描いているところがおもしろい!

セルドアと一緒になって、「あぁ、いろんなもの一緒に見て、いろんな話をして、いろんな疑問を語り合って、いろんなしょーもない話して、一緒にいろんな経験して、たくさんのなんてことのない時間を過ごして、恋ってはじまるんだな。」って、思った。

それを感情の持たないはずの人口知能が教えてくれるんだよ!
なに、この設定。

でも、人工知能だからこそ、人生にときめいているからこそ、ずっとそばにいれるからこそ教えてくれたんだと。

人工の感情だから、もちろんこれはリアルか?っていう不安も、自分はおかしいのか?っていう疑念も、湧いてくる。
でも、それって対人間でも同じことでどこまでリアルな感情で、自分の感情のリアリティさえなくなるのが恋愛ってやつだったじゃないか。


ラストもすごくいい。
OSだからこそのラスト。サマンサと出会えたから、元妻とのことも、自分のことも肯定できた。
決してハッピーエンドではないけれど、そうやっていろんなことを肯定できる出会いって本物だよね。それって、リアルでしょう。


人工知能だからこその部分と、人工知能だからって関係ないっていう部分が共存していて、ものすごく秀逸!
DVDが出たらもう一度観ようと思う。


ってか、2か月ぶり…。
観てマス、観てマス。書いてないだけ。
書きマス、書きマス。