2014年1月7日火曜日

好きだ、(2005年)



好きだ、

2003年撮影・2005年製作の日本映画。
第1回ニュー・モントリオール国際映画祭のコンペティション部門に出品、監督賞を受賞。
監督/脚本・石川寛、出演・宮崎あおい、西島秀俊、永作博美、瑛太、音楽・菅野よう子。


ある田舎の川辺を舞台にした高校生の日常から始まる物語。ストーリーは、はじめから最後まで一貫して、淡々とした空気のまますすんでいく。
石川寛監督は、セリフを用意しないで、その場の会話を撮る手法をとるそうだが、会話のやり取りがあまりに自然で思わずくすっと笑えるところが多々ある。
高校生時代の宮崎あおい演じるユウと、瑛太演じるヨースケの会話は特に、観ているこっちが歯がゆくなる会話が印象的だった。
最近観た『ハルフェイ』も、アドリブで撮影されていたけど、高校生のアドリブの会話ってなんでこんなに照れくさくて、きゅんとするんでしょう。

アドリブということだけど、宮崎あおいから永作博美の成長は本当に同一人物なんじゃないかというくらい、自然で驚いた。宮崎あおいのユウのキャラが17年経つと、「こうなるよね。」というのが、まさに永作博美のユウだった。演技が同じというか、17年経ったあとのユウという点で。


高校生のとき、お互い惹かれ合いながらも、不器用なあまりすれちがって、そのまま会えなくなってしまった二人。それが17年後再会します。
再会して、恋心が盛り上がって…というところまでは想像できるんだけど、高校生のときの不器用さ(というか、めんどくさい感じ)を残したままのユウ(永作博美)は相変わらずでかわいい(笑)。

でも、お互いが不在の17年間があり、大人になったからこそ言えた、最後の「好きだ」の一言。
この「好きだ」を聞くために、もう一回観たくなるくらい素晴らしい「好きだ」です。
永作博美が思わず「好きだ」と言ったとき、西島秀俊はもぞもぞしていて実はちゃんと聞いていないと思うんだけど、そのあと西島秀俊もまた「好きだ」という。このどちらもポロッと出てきてしまったような「好きだ」が本当に素晴らしい。淡々とした空気で1時間半ほどぽけーっと観ていたら、ここで一気に感情がぶわっと溢れてきてしまいました。


タイトルの「好きだ、」もいいよね。
「。」じゃなくて、「、」というところが、すごくいいと思います。「好きだ」から続く先があるようで。あるんだろうけど、「好きだ、」で終わるところもすごくいい。
睡眠不足で観ると、眠くなるけど、諦めずに最後まで観るといいと思います。エンドロールも素敵ですので、ぜひ最後まで観ていただきたい。


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