2014年1月20日月曜日

ボビー・フィッシャーを探して(1993年)



ボビー・フィッシャーを探して』(1993年)

実在の天才少年チェスプレイヤーのジョシュ・ウェイツキンの父親フレッドが、ジョシュの生活を綴った本をスティーヴン・ザイリアン脚本・監督で映画化。


7才のジョシュ・ウェイツキンがたまたま公園でストリート・チェスを見たことがきっかけで、その並外れた才能を開花させ、チェスの世界へ入っていく。

この映画は、アメリカン・フィルム・インスティチューが選ぶ、「感動の映画ベスト100」にも選ばれているみたいで、本当に涙なしじゃ見れない映画。2回見たけど、2回とも号泣しました。

いち早くその才能に気付いた母親、その才能を開花させようと動く父親、ストリート・チェスで勢いのある攻めのチェスを叩き込むヴィニー、チェスの名手として知られ考えるチェスを教えるコーチのブルース。ジョシュを取り巻く様々な大人たちがみんな、ジョシュを勝たせようといろいろとするが、自分たちの勝負の方法や考えを押し付ける中、ジョシュ自身をただひたすらに見守る母親が、本当にすばらしい。
自分の子供がたぐいまれなる才能に恵まれていると知った時、果たしてあのように振る舞えるのだろうか?お父さんのように、その才能を活かすことに夢中になってしまう気がしてならない。お母さんは、ジョシュのみを見つめている。チェスが強くても強くなくても、勝っても負けても、野球が好きでも、ストリート・チェスが好きでも、どんなときもただジョシュ自身を見つめ、やりたいことをやらせ、ジョシュに無理を強いる人がいれば全力で守る。そんな母がいたからこそ、ジョシュは再びチェスの世界に戻ることができ、決勝戦では優しさを持った勝者になれたんだと思う。

最後の勝負は本当にずるい!まわりの誰も悪者にしない映画にする勝負を見せつけられるんだから。


チェスはなかなか日本じゃメジャーじゃなく、とっつきにくい感じがあるけど、この映画はスピード感のある演出で、物語の勢いに一気に乗れるので、その心配はないです。展開がただ早いんじゃなく、スピードの緩急とか喧噪と静寂の出しわけがすばらしい。
個人的にすごく好きな小説に「猫を抱いて象と泳ぐ」(小川洋子・著)があり、チェスの芸術的かつ数学的、哲学的な世界観も好きなのですが、その辺もさらりと盛り込んでいて、ますますチェスに興味も持ってしまいました。(実際に自分でやるとなると別で、その世界観に興味があるということですが)

この映画でチェスに興味を持ったら、「猫を抱いて象と泳ぐ」もおすすめです!

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