2014年1月30日木曜日

恋の渦(2013年)


恋の渦

2006年に上演された劇団ポツドールの三浦大輔による戯曲を、大根仁監督が映画化。
気鋭の監督が受講生と新作を撮るワークショップ「シネマ☆インパクト」の一企画として制作された。出演者はまだ無名の俳優たちばかり。
オーディトリウム渋谷での限定公開だったが、口コミで全国に拡大上映されるようになった。


一言で言うと、「男ダセェ!女こえー!男と女めんどくさっ!(笑)。」という感じですかね(笑)。

男女9人が集まった鍋パーティがすべての始まり。交錯する人間関係、渦巻く思惑、迷走する自意識。
観ていると本当に「あ~あるある!」「あ~いるいるこういうやつ!」の連続!逆にリアルすぎてエグイ部分もありつつ(描写がというよりも、思い当たる節があって…という感じ)。DQNって謳ってるけど、割と誰でもありそうな話(ここまでエグくなくても)。

特に面白いな~って思ったのは、これは鍋パーティがきっかけなんだけど、その鍋パーティでは実際何も起きないんですよ。起きているんだけど、やりすごしていたというか、うわべでワイワイ楽しくみたいな感じで。パーティ中、それぞれの思惑はあるんだけど、露呈することはない。
で、思惑が実際に動き始めるのが終わったあと。携帯を駆使して、目まぐるしく動き、渦巻いていく。ここが本当リアル。
この「腹ん中じゃ、何考えてるか分かんねーぞ!」感!「裏で動いてるのはお前だけじゃねーぞ!感!
観客という神目線で見るものだけが、ただ笑えるというリアル。



9人の若者たちは随所で「怒ってる?」「言いたいことあるなら言ってよ」「ごめんね?」「うざい?」という言葉を発する。若者たちの空気を読む文化の表れという捉え方もできるのかもしれないけど…彼らは、本当に空気読んでるのか?起きていることの本質分かって言ってるのか?相手のこと知ろうとしているのか?
何度も何度もみんながみんな、それを口にするもんだから、これって“空気を読んでいる感”を出すためにしか思えなくなっていった。要するに、全員自分のことでいっぱいいっぱいで、自分のことしか考えていない。だけど、それすら認めていない。そこで魔法の言葉「怒ってる?」「言いたいことあるなら言ってよ」「ごめんね?」「うざい?」が出てくる。そう聞けば相手のことを考えたことになるかのような魔法。

繰り返される馴れ合いの中、実際何も見えていないっていうね。



正直、魅力的なキャラは1人もいない。ダメな部分を引き延ばしたかのような個性を持つ面々。
なんだかんだユウジとオサムが一人で泣きながら電話しているの見てスカッとしたし、ユウタとタカシの友情も最後気持ちよく消化され、ナオキの知らない真実を知ると「ざまあみろ」となる。
ただ、カオリ!この女、もっと痛い目合って欲しかったな(笑)。ユウタの最後の選択がなかったら…なんて、恐ろしいことも考えてみたり…。

個人的には、ブス女ユウコが一番いいやつだなと思いました。顔じゃないね、中身だよ(笑)。



この見えないヒエラルキー、あるあるシリーズは、『桐島、部活やめるってよ。』に似ています。そして、口コミで広がったという点も。見えないヒエラルキー、あるあるシリーズだからこそ、口コミで広がりやすいってこともあるんでしょうね~。

でも、どちらも「あるある~」ってなるけど、その「あるある」の部分って結構、自分の痛いところだったりするような…。あと、他人が恋だ、愛だ、好きだ、嫌いだー!って、もがいているのはやっぱり滑稽に映ってしまうんだね。現実世界では、その滑稽さの中に自分もいるんだけど(笑)。

他人の痛い部分を通して見て、自分の痛い部分を笑い飛ばそうとしてるのかな。






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