『ラッシュ/プライドと友情』
ロン・ハワード監督。クリス・ヘムズワース、ダニエル・ブリュール主演。脚本はピーター・モーガン。
あらすじ―――
1976年のF1世界選手権を舞台に、2人の天才ドライバー、ニキ・ラウダとジェームズ・ハントの戦いと絆を描いた。76年のF1チャンピオンシップで、フェラーリのドライバーとして快調なレースを続けていたラウダは、ドイツ・ニュルブルクリンクで開催された第11戦ドイツGPで大事故に見舞われる。奇跡的に6週間で復帰を果たしたラウダだったが、ライバルでもあるマクラーレンのハントにポイント差をつめられてしまう。チャンピオンシップを競う2人の決選は、富士スピードウェイで行われる日本での最終戦に持ち越される。
正直、F1について全く明るくなく、休日前の前日に映画館に行ったところ、サラリーマンのおじさんたちがチラホラいるだけの状況に若干ビビりながら鑑賞。
が、オープニング後、すぐにそんな不安は覆されました。
オープニングからもうしびれましたわ~。エンジン音、クローズアップされるマシン類、道路の高さに設置されたカメラ…。か、かっこいい!もう、このオープニングのかっこよさで、これは観て損はしないなと確信しました。
F1の映画だけど、レースシーンばかりというわけではないです。事故についても事実に基づいているので、このあと何が起こるかも最初からわかっています。でも、事故を描いてるわけじゃなく、ニキ・ラウダとジェームズ・ハント二人の人間を描いている映画。
クールで人付き合いがうまくない頭脳派・ニキ・ラウダ、明るく常に仲間に囲まれるプレイボーイ・ジェームズ・ハント。若い頃、F3で出会い、その後F1でもライバルとしてしのぎを削る…という、まあ、映画とか漫画でよくあるライバル構造です。
クールで社交性のないニキ・ラウダが実は、優しく、人間味のある性格だったり、みんなに愛されるジェームズ・ハントの明るい笑顔の奥に見え隠れする孤独や不安が、レースを通じて少しずつ明らかになってくる。ハントへのライバル心から事故後、早急に復帰するも守るもののため、“生きる”ということを選ぶニキ。勝つために、刹那に生きるハント。二人の生き方は最後まで対照的だが、どちらも“自分の存在を証明するために、勝つ”ということは共通している。生きるということがレースをするということのように感じました。
お互い嫌味を言い合い、なかなか本心を口にはしない。復帰後のレース前、ぎこちなく思いを告げる二人。だが、スタート位置についた二人が目線を交わし、手を挙げるシーンの方が、二人は多くを語り合っているように見えた。言葉ではない会話にしびれました。
かっこいい男が二人出ている映画ということで、しょうもないけどどっちが好きか考えてみました。
最初は、結構嫌われ者が好きだったりするので、ニキかなーと思ったんだけど、終盤からハントの笑顔の向こうに隠された影の部分に惹かれていきました。笑顔めっちゃかわいいから余計に。
ニキの冷たくみせて優しい強さも、ハントの明るさの奥の孤独も、どっちもそれぞれギャップがあって素敵なのは間違いないんですが。
とにかくものすごく、いい映画なんです。アカデミー賞ノミネートされてないので、『アメリカン・ハッスル』や『ウルフ・オブ・ウォールストリート』ほど話題じゃないけど…。なんでアカデミー賞ノミネートされてないんだろ?その辺りの事情はわからないけど、観て損はないです!女の子は特にF1~ってなりそうだけど、騙されたと思って観てほしい映画だわ。
観終わった後、劇場を出てもエンジン音とかサスペンションとか頭の中グルグルして、まさに興奮冷めやらぬという感じになりました。それも、涙目で。
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