2014年2月5日水曜日
ビフォア・ミッドナイト(2013年)
『ビフォア・ミッドナイト』
『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995年)、『ビフォア・サンセット』(2004年)の続編。3作ともリチャード・リンクレイターが監督、イーサン・ホークとジュリー・デルピーが出演し、2作目以降はリンクレイターとホークとデルピーが共同で脚本を執筆。
『ビフォア・ミッドナイト』の鑑賞前に随分前に観た、『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』と、見逃していた『ビフォア・サンセット』を併せて鑑賞。
シリーズの3作とも、物語のほとんどがイーサン・ホーク演じるジェシーとジュリー・デルピー演じるセリーヌの会話で展開していく。『サンライズ』~『サンセット』~『ミッドナイト』と9年おきに制作され、物語の時間もそれぞれ9年後を描いている。
最初に『サンライズ』を観たとき、ものすごくロマンチックでうらやましいな設定なのに、なんだかしっくりこなくて、見直しても同様で…。なんとなくもやっとしたまま、『サンセット』を鑑賞。うーん。『サンセット』は、ちょうど今の自分のちょっと上くらいの年齢のときの話なので、セリーヌの思いとかは割とシンクロするんだけど、やっぱり、もやっと。
で、『ミッドナイト』を鑑賞。わかりました。セリーヌが好きじゃないみたいです、私。
そもそもの話をすると、二人はヨーロッパの長距離鉄道の中で出会い、意気投合し、ジェシーが降りるプラハでセリーヌも途中下車し朝まで語らうのが、『サンライズ』。翌朝別れる時に、半年後の再会を約束するが会えず、9年後にジェシーが二人のその夜の思い出を綴った本が出版されたことで、再会を果たす『サンセット』。『サンセット』の終わりはまだ続きがあるような、含みのある終わり方となっていて、『ミッドナイト』ではすでに二人が夫婦(事実婚?)で子どももいるところから始まる。
セリーヌはすごく賢い女性で、負けず嫌い。それが、会話の端々の出るわ出るわ。割と感覚的なジェシーを理論(のようなもの)で攻めるわ攻めるわ。『サンライズ』、『サンセット』では、ふたりの距離感があるから、そこまで露骨じゃないんだけど…『ミッドナイト』のセリーヌの破壊力。攻めるわ攻めるわ、理屈っぽいような、感情的なだけのような、言葉攻撃で攻め立てる。おばさん(41歳)になってパワーアップしてるし…。
正直な話、結構「それ言っちゃダメでしょう!」と「今さら、その話持ち出すのかよ?」と「それ関係なくね?!」の連続でジェシーはいたたまれなくなりました。
そんな、セリーヌの性格のキツさも見てられなかった理由のひとつではあるんだけど、『サンセット』のセリーヌに若干共感できてしまったから(32歳で、恋に仕事にうまくいかない、焦りを抱えていた)、いつか来る自分の姿がこうなのかもしれないという恐怖もありつつ。
28歳の目線からは、さすがにロマンチックな『サンライズ』のようなことは夢物語と知りつつも、『サンセット』のように葛藤しているさなか(9年後にかつての旅先で出会った人との再会は、ロマンチックだけど…)、そんな過去があったとしても圧倒的な現実に染まっている『ミッドナイト』は、ちょっとまだ見たくない未来でした;;
そう、リアルなんだよ。リアルすぎて、つらいんですよ。
でも、3作通して見ると、『サンセット』を見て『サンライズ』の良さがわかって、『ミッドナイト』を見て『サンライズ』と『サンセット』の良さがよりわかるような、作りになっていて、18年の歳月を越えた壮大な映画で、3つあってこその映画でおもしろいと思います。3つあるからこそ、誰でもどこかの段階で共感できると思う。共感できるからこそ、その先の未来(私の場合は『ミッドナイト』)がつらくて…(←まだ言ってる)。
と、まあ、いろいろ言ったけど、『ミッドナイト』の結末はしんどいものではないです!
むしろ、途中で目を逸らさなくてよかった、最後までふたりを見てよかった~と思える結末でした。
なかなか素直になれない、ついいじわるばかりが口をついて出てくるセリーヌにとっての、ジェシーの最後の歩み寄りは本当に最高だった。
それにしても、もう一回ここで『サンライズ』を見直すと違うんだろうな。『サンライズ』の写真見ただけで、ジュリー・デルピーの経年変化がやばい!人って18年で変わるんだと、思い知らされましたとさ。
登録:
コメントの投稿
(
Atom
)
0 件のコメント :
コメントを投稿