2014年2月12日水曜日

光にふれる(2014年)



光にふれる

盲目の天才ピアニストとして活躍するホアン・ユィシアンが本名のままで主演。監督のチャン・ロンジーが2008年に発表し、台北映画祭で最優秀短編賞を受賞した「ジ・エンド・オブ・ザ・トンネル(黒天)」を、ウォン・カーウァイの企画により長編化した。12年・第25回東京国際映画祭「アジアの風」部門で上映。
台北映画祭で最優秀主演女優賞と観客賞を受賞。


視覚障害を持つ天才ピアニストとダンサーを目指す女性が、互いに励まし合いながら夢に向かって奮闘する姿を描く物語。


すべてがキラキラしている映画だった。物語はもちろん、映像も、音楽も、出演者もすべてがキラキラとまぶしい2時間。
視覚障害が主人公だが、障害であることがテーマではなく、ユィシアンとダンサーを夢見る女の子・シャオジエというふたりの若者が挫折や迷いから抜け出し、再び夢を目指すという点がテーマである。

物語の中でも出てくる「目が見えないからかわいそう」というユィシアンへの感情は、観終わった後に完全になくなります。
ユィシアンの弾く曲はどれもキラキラとした光が見えるかのような音楽で、音楽だけで涙があふれるという初めての経験をしました。音楽については詳しくなく(ユィシアンのことも本作で知ったくらい)、音楽の才能というものはわからないので、説明はできないけれど、とにかく感動で涙が止まらなくなる演奏でした。


映像の演出も素晴らしく、逆光の使い方がほんとうに美しい!二人が一歩踏み出すような大事なシーンでは、特に光の演出が施され、それもいやらしくないからこそ、観終わった後の「すべてがキラキラ」しているという印象につながったのではないでしょうか。


互いに言葉で励まし合うのではなく、言葉を超えた空気のようなもので、それぞれが一歩を踏み出す。そんな二人を見ていると、一人では踏み出せない一歩も、誰かがいることで踏み出せるのかもしれないと、教えられました。

二人の人生はまだまだ続くことだろう。この映画で描いているのは、その最初の一歩を踏み出すまでの話。エンドロールの映像が、まさにそういった演出になっていて、エンドロールの最後まで涙が止まらなくなりました。


言葉で説明すると最初の「視覚障害を持つ天才~」という説明になるけれど、この映画の主人公は障害を持った男の子でも、天才的なピアノの才能がある男の子でもなく、ごく普通に悩める男の子だという思いが強く残った。そして、とても優しい心を持った男の子。


シャオジエをイメージした曲を聴いていると、ユィシアンが思い描いた、シャオジエの踊る姿はどんなものなのだろうと、思わず目をつぶりたくなる。
目をつぶっても、キラキラとした光が見えるような音楽で、まさに「光にふれる」感覚に陥りました。

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