2014年2月19日水曜日
ブルーバレンタイン(2011年)
『ブルーバレンタイン』
2010年のアメリカ映画。監督・脚本デレク・シアンフランス。主演はライアン・ゴズリングと、本作で第83回米アカデミー主演女優賞にノミネートされたミシェル・ウィリアムズ。
第63回カンヌ国際映画祭では「ある視点」部門に出品。第68回ゴールデングローブ賞ではライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズがノミネート。
―あらすじ―
仕事が芳しくないディーンと、長年の勉強の末に資格を取り、病院で忙しく働くシンディの夫婦は、娘のフランキーと3人暮らし。2人はお互いに相手に不満を抱えていたが、それを口に出せば平和な日常が崩れてしまうことを恐れていた……。夢や希望にあふれていた過去と現在を交錯させ、2人の愛の変遷を描くラブストーリー。(以上、映画.com)
はからずも「離婚もの」(『クレイマークレイマー』『セレステ∞ジェシー』)、「過去と現在同時進行もの」(『サニー永遠の仲間たち』『きっと、うまくいく』『建築学概論』)が続いております。
すれ違っていく結婚7年目の夫婦と、出会って惹かれあった頃の二人が同時進行し、結末に向けてそれぞれのゴール(離婚と結婚)へと収束していくんだけど、二人でいれば全てが楽しく、幸せだった頃と、何をしても腹がたち、喧嘩になってしまう二人が並行して進んでいくので、その落差がものすごく際立つ作りになっている。
映像や画面の構図、音楽なども二つのパートで違って、感情が盛り上がっていく二人と、気持ちが離れていく二人を表現する演出がすばらしかった。
出会った頃は、魅力的だったディーンのおちゃめで陽気で、自由なところが結婚後は、シンディを苛立たせる。
ディーンの惚れていた、シンディの知的さもまた二人のギクシャクした関係に水を注ぎ…。
かつて魅力的で好きになった理由のひとつ、ひとつが、結婚後は苛立たせる原因になっていく。
美しかったシンディも“生活”の中でやつれ、愛おしかったディーンの無邪気さも“生活”の中では煩わしいものになっていってしまう。
結婚と恋愛は別物とはよく言ったもので、結婚って“生活”なんだな…と、改めて思い知らされました。
どんなにときめいた相手でも“生活”のパートナーとなると、話は別で、好きなところが一番苛立つところになってしまうなら、付き合ったのが間違いなんじゃん!という、そもそも論にたどり着くわけですが…。
シンディはディーンに出会う前に以下のような会話がある。
―シンディ「いつか消える感情なんて信じられる?」
―おばあちゃん「愛を見つけるためには感情を持たなくちゃ」
シンディはもともと愛や恋を信じていなかった。だけど、ディーンに出会ったことで、“いつか消える感情”を信じていくようになる。
結婚後のシンディははじめディーンに対して期待し、ああしてこうして言うが、徐々に諦め、最終的にはディーンに対して感情を抱くことすら放棄しようとしてしまう。
こういう風に二つのパートはクロスするようにできていて、最初に言った「いつか消える感情なんて信じられる?」という言葉が結果的にものすごく未来を見据えたもののように見えてきて怖いんですよね。
そんな極めて絶望的なラストなんだけど、じゃあ、出会わなければよかったのか?いつか消える感情なら信じなければよかったのか?と、言ったら、そうならないのがこの映画のすごいところだと思う。映画が終わる瞬間までは、そう思ってしまうんだけど、終わった瞬間から連続したまま流れるエンドロールを観ると、そうは思えなくなってくる。
かつて二人が愛し合ってた頃、“君と僕”の世界がすべてだった頃が、花火と共に映し出される。そのときの二人の表情を見ると、どうしても全部否定する気にはなれないから不思議だ。でも、生きるってそういうことなのかなとも思う。やっぱり、いつか消えると分かっていても信じたからこそあった時間なんだから。
幸せな二人の顔が、花火と共に映し出されるから一瞬なの。それがまた、はかない時間、もう取り戻せない過去という感じもあって
より切なくなって、エンドロールから泣きだしてしまった。
映画評論家の町山さんやライムスター宇多丸もウィークエンド・シャッフルで絶賛していた映画です。
確かに人と話したくなる映画だな。
ポスターがどれも素敵。一番好きなのをメインにしたけど、他のもかわいいから載せておきます。
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