2013年11月18日月曜日

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2012年)




ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

ジョナサン・サフラン・フォアによる同名小説が原作のアメリカ映画。
主演トーマス・ホーン演じるオスカー・シェルの父トーマス・シェル役でトム・ハンクス、母リンダ・シェル役にサンドラ・ブロックが出演。

実は公開直後に一度観たので、今回は2度目の鑑賞。
日本での公開は20122月。当時、日本人の心の中には、まだ3.11の記憶が影を落としていた。どちらかというと日常生活においては目をそむけながらも、間もなくやってくる「1年」ということを意識せざるをえない時期だったと思う。 

トム・ハンクス演じる主人公の父・トーマスシェルは9.11で亡くなる。
突然失った父の残した“謎”を解明すべく主人公オスカー・シェルがニューヨーク中を探し探し回るのだけど、それは謎の解明から、父の死とどう向き合うかの冒険となっていく。

「あの時、もっと何かできたのではないか」と、オスカーは無意識に自分へと問い続ける。
公開当時、3.11で多くのものを失った私たち日本人は、理不尽に断絶されたあの日以前と以降の狭間できっと同じように問うていた。
そして、それでもあの経験を経て今があるなら、何が変わったのだろうと。

オスカーは、父の残した謎を探りながら多くの人や出来事に遭遇し、ありえないほど近くの大きな存在に気付く。
オスカーは、父の死を経て変わったのだろうか?変わったのかもしれないし、変わっていないのかもしれないが、気づくことはできた。
そのとき、オスカーは父を介して、謎や不思議のありかとして捉えていた世の中や世界が、実は自分とありえないほど近くて、耳を澄ませば、ものすごくうるさくにぎやかな世界だと知る。

物語後半で明かされるママの行動には、涙が止まらなかった。
ママもまた、愛する人を失った一人だ。オスカーが謎を解き明かそうとしながら、父の死と向き合っていったように、ママもオスカーを見守ることで向き合うことができたのかもしれない。

以下、引用
ママ:「彼の声が恋しいわ。いつも私に『愛している』と言ってくれた」
オスカー:「ママに好きな人ができたら付き合ってもいいよ」
ママ:「いいえ、彼は特別な人、わたしの初恋だったのよ」
オスカー:「パパはいつもママのことを『ママみたいにステキな女性はいない』と言ってた」

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