2013年12月2日月曜日

第23回映画祭 TAMA CINEMA FORUM「松田龍平という佇まい ―春から大海原へ―」




第23回映画祭 TAMA CINEMA FORUM「松田龍平という佇まい ―春から大海原へ―」に行ってきました。


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●スケジュール

青い春上映
松田龍平、豊田利晃監督、新井浩文(サプライズゲスト!)のトーク
舟を編む上映
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映画の感想は、別の記事に書いてあります。
『青い春』の感想はこちら
『舟を編む』の感想はこちら


今回は、『青い春』豊田監督と、主演の二人ということで、『青い春』のトークが中心だった。
当時のエピソードや、思い出を交えつつ、新井さんのトークと、それに対するクールな龍平さんのトークで盛り上がっていた。


面白かったのは、観客の質問で
「九條はあのあとどうなったと思いますか?」という、質問に対しての答えだった。
「辞めたんですかね?考えましたね。ある意味、ナインソウルズに続くというか。九條にとっては、学校が一番楽しくて、つまらないというか。でも、卒業したと思います。」

ちゃんと卒業したのかどうかは、龍平さんの答えからはよく分からなかったが、龍平さんの中では九條は、あの後ちゃんと学校との折り合いをつけたという答えだったのだろう。彼自身、『青い春』の撮影前に高校を中退してから撮影に挑んでいる。
卒業証書をもらい、「仰げば尊し」を歌うことが卒業ならば、松田龍平も九條も卒業はしていないかもしれない。でも、泳ぐには寒すぎる世の中(=学校の外)へ出ていくことを、自らの意志で決断したことを卒業と捉えているのかもしれない。
それは九條の仲間たちが、学校を去る時にはなかったものだから。

この質問に監督は「お客さんに想像して欲しいですね。その先にナインソウルズがあるとは思いますが。」と答えた。
それも、おお!と思った。

二人の中で、『ナインソウルズ』のみちるに繋がるという、話があったのかどうかは知らないが、この話を初めて二人の口から聞いて、ものすごく『青い春』の結末がしっくりきた。
九條=みちるということではなく、きっと九條は学校の外で、変わらずあの眼差しで何かを見つめて生きているということなんだろう。

この後、新井さんは「しっくり来た!だから、うち、ナインソウルズに出てないんだ(笑)」と言い、笑いが起きていた。


『御法度』から『青い春』へ。『青い春』から『ナインソウルズ』、『I'M FLASH』へと繋がっていく。
『青い春』でデビューし、出会った新井浩文、瑛太とはその後も共演していく。映画ひとつひとつに、出会いがあって縁があって、広がっていく関係が面白いなと思った。

最近はミズタクや馬締君とかゆるっとした役が多いけど、何を考えているか分からない狂気を孕んだ表情の松田龍平といったら、豊田監督の作品だよな~と思っていたら、やっぱり監督もそういう松田龍平を撮りたいんだというようなことを言っていた。
新井さんも、いつも龍平の出演作を見るとなんで自分が共演していないのかと思うと言っていた。
「こういう龍平を撮りたい」と監督に思わせるのも、「一緒に共演したい」と思わせるのも、すごいことだと思う。人柄もあるんだろうけど。


最後に一通り、トークが終わって退場の時。一人マイクをいじっている松田龍平。
「今日はありがとうございました。」と、あいさつして退場していった姿が印象的だった。きっと言い忘れたことが気になったんだろう(笑)。


13年前、隣駅の廃校で撮影された映画が、この13年間この映画祭で何度も上映されているらしい。13年後こうやって、監督共演者が映画について語るというのも、なかなかないことだと思う。すごいな。改めて見て思ったけど、13年前なんて関係ないくらいの鮮度を保ったままの映画だった。



トーク後、会場から車に乗り込む3人を見ることができた。近くで見たいけど、ごりごり行けず、背伸びして眺めていたら、会場の案内の方が「こっちの方が見えるよ。見れてよかったね。」と、こっそり誘導してくれた。「ありがとうございます!」と、喜んでいたら、「来年もみんなが喜んでくれるような、映画とゲストを呼べるようにがんばるね。」と。
授賞式でも思ったけど、やっぱりあったかいイベントだな、と思った。

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