2014年1月3日金曜日

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(2013年)



オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ

ジム・ジャームッシュ監督作品。
出演はトム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントン、ミア・ワシコウスカ、ジョン・ハート、アントン・イェルチン。
第66回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映。


初めてのジム・ジャームッシュ作品ということと、普段あまり観ないヴァンパイアものということで、めちゃめちゃ構えて観始めたら…度肝を抜かれました。
か、かわいい!お、おもしろい!

アダムとイヴの恋愛物語なんだけど、“ヴァンパイア”という設定だけで、何てことない恋愛物語がこんなにおもしろくなるのかっていう。ずるいわ。
現代が舞台ということで、iPhone使うし、YouTube見てるし(笑)。そしてヴァンパイアなので、食事は血液、日光は浴びれないので昼夜逆転、長生きなので昔話の単位が世紀単位だったり。
現代の血は汚れているとか“現代に生きるヴァンパイア”という、設定を活かしたオチもすばらしい!

ものすごく構えて観たけど、話はシンプルで、シンプルだからこそ“現代に生きるヴァンパイア”という設定の活かし方のうまさに、度肝を抜かれました。


ブリングリング(2013年)


ブリングリング

監督・ソフィア・コッポラ、エマ・ワトソン主演。
第66回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」でオープニング上映された。
少年少女が、セレブの邸宅に侵入し、窃盗を繰り返した実話を元にした物語。

センセーショナルなテーマだけど、映画の内容は窃盗事件の罪を追及するものでも、犯人たちの心境を深く探るような内容でもない。淡々と事実を追い、その中に逮捕後の犯人たちのインタビューが少し挿入されるだけである。

その淡々と進む展開は、当時の犯人たちの事件に対しての動機を表しているかのようで、すべてがとても軽い。
本当に「パリスんち行こうよ。」のノリ以上でも、以下でもないのだろう。ストーリーの展開の軽さが、よりいっそう彼女たちの物事の考え方の軽さを象徴しているようで、最後には少し恐ささえ感じてしまった。

たぶん何も考えてないんだろうな、彼女たちは。そう思えるくらい自分は大人になってしまったんだとも感じた。


罪の意識とか、事件の善悪についてどうこう言うつもりはないし、そういう映画でもないけど、セレブの並外れたゴージャスな生活っていうのは何かやっぱ変だよね(笑)。パリスの部屋に入ってしまったら、確かに何かがおかしくなる気にもなってくる。
セレブって何なの?笑

セレブの世界に侵入して窃盗したっていう事実は、きっと彼女たちにとってみれば、現実感のないふわふわした夢の中で起きたことなんだろう。
それがどういうことなのかということも、よくわからなくなるくらいパリスの家は現実感がないものだった。


それにしても、『ウォールフラワー』といいアメリカの高校生って、こんなにクスリとかハッパとかやりまくってるもんなの?!



モテキ(2011年)



モテキ
原作の久保ミツロウが映画のために、ドラマ版の1年後を舞台に完全オリジナルストーリーを描き下ろした。
ドラマ版同様、主演・森山未來、演出脚本・大根仁。

長澤まさみのかわいさを見るためだけに、見てもいいんじゃないかっていうくらいかわいい!女目線で見ても魅力的すぎる、殺人的かわいさです。はい。

原作漫画もおもしろいし、監督は大根さんだし、キャストすばらしいので、まちがいなくおもしろいんだけど、予想をはるかに超えるおもしろさで、見終わった後のテンションやばかった…。
(公開時レイトショーでひとりで観て、おもしろすぎてテンションを共有したくて、感想を話すためだけに友達に会いに行ったんだよね)


幸世のめんどくささは、あいかわらずなんだけど、モテキのおもしろさって、悩んだり、泣いたり、喜んだり、うじうじしたり、もやもやしたりって言う、恋したときのめんどくさい感じをみんながしてるっていうところ。
みんながみんな恋する時のダサイ感じになっちゃってる。現実もそうだよな〜って、誰かのダサさにちょっと共感したり、切なくなったりするんだけど、テンポの良さと、ダサさの出し方がうまいから、自分もダサイ側にいた経験があっても人のダサさには思わず笑っちゃってるんだよね。
かっこつけてる墨さんですら、ダサイもんね(笑)。

好きになってくれる人とか、好きになったら幸せだって分かってる人を好きになれなかったり、好きになっちゃダメなのに好きになってたり、理由もないのに好きになっちゃダメな気がしたり、理由もないのに好きになってたり、自暴自棄になったり、思いが暴走したり、大人になろうとしたり。

そうそう、恋ってダサイんだよね。必死の恋って、端から見るとめちゃめちゃ滑稽になってしまう。でも、いいよね。そのダサさいいよね。そう思える映画です。

うん。いいはずなんだよね。恋って。

2014年1月2日木曜日

ニュー・シネマ・パラダイス(1988年)



ニュー・シネマ・パラダイス

1988年公開のイタリア映画。監督はジュゼッペ・トルナトーレ。

完全版で鑑賞。3時間弱の長い映画にもかかわらず、ラストに向けて全てがつながり、徐々に感動が高まっていき、飽きなかった!

映画好きのいたずら小僧トトが、大人になり、映写技師の老人アルフレードの思いをラストで知ることになるところで、涙が止まらなくなった。

兵役を終え村に戻ったトトは、かつてのようにアルフレードに映画の話を振る。そんなトトにアルフレードは「人生は映画とは違う。村を離れろ。」と突き放し、トトを村の外に出るように仕向ける。「ノスタルジーに惑わされず、かつて、映写室を愛したように、自分のすることを愛せ」と。
最初は、狭い村じゃなく、広い世界を見て経験しろ、ということなのかと思っていた。そう思うと恋を阻んだところが納得いかなかった。

けれど、最後、アルフレードの遺した映画を観て分かった気がした。
アルフレードは、いつかキスシーンも映画館で上映できる日が来ることを願っていたのではないだろうか。自由に映画を作り、上映できる日が来ることを。
そして、自由に恋愛できる日が来ることも。

アルフレードはトトに、キスシーンがカットされる映画をあたり前に思って欲しくなく、縛られた恋愛しかないと思って欲しくなかったのではないだろうか。この街にいれば、自然とそれはあたり前になってしまうことを避け、村から出したのではないか。

アルフレードが夢見た映画の未来、トトに託した映画の未来。
アルフレードはトトに映画も恋愛も自由に表現できる楽園で生きて欲しいと願った。トトのラストの笑顔は、30年前に託されたその思いを理解した表情だったように見えた。


他にも胸が熱くなるエピソードが随所にある。折に触れて、また見たくなる映画になりそうだ。


Dolls(2002年)


Dolls

北野武監督作品。第59回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門正式出品作。
キャッチコピーは「あなたに、ここに、いてほしい。

直接関わることはない3組の男女の物語が交錯するラブストーリー。
ただひたすら一緒に歩き続ける男女、男を待ち続ける女と待たせていた男、傷ついたアイドルとそれを見ないために視力をなくした男。
これは愛なのか復讐なのか。それぞれの「愛」については、究極過ぎて、正直理解できなかった。

そんなそれぞれの究極の愛に少しの光が射したとき、それは失われる。悲しいを通り越して、絶望を思い知らされる映画だった。

そして、描かれる美しすぎる映像に、どこか恐怖を感じてしまうのは私だけだろうか。とりわけ、赤が印象的に描かれている。その恐ろしく鮮やかな赤は、もう一度恐いもの見たさで見たくなる何かを持っているような気がする。

この映画も、美しすぎる「愛」ゆえに恐ろしく、もう一度観たくなるような中毒性があるような気もしている。今はまだ理解できていないが、いつか理解できるのかもしれないし、できなくてもいいような、そんな映画だった。



実は高校生のとき一度観たが、その時も理解できなかった。
それでもあの当時、菅野美穂と西島秀俊が大量の風車の前をただ静かに歩いている映像がものすごく衝撃だったのを憶えている。

ヒューゴの不思議な発明(2011年)


ヒューゴの不思議な発明

ブライアン・セルズニックの小説『ユゴーの不思議な発明』を原作とする、マーティン・スコセッシ初の3D映画。
第84回アカデミー賞では同年最多の11部門にノミネートされ、5部門で受賞。

1930年代のフランスを舞台に、駅の時計台に暮らす孤児・ヒューゴ。ヒューゴは身寄りもなく孤独の中、父の遺言が唯一の形見である機械人形の中に隠されていると思い、毎日こつこつと修理をし続けている。あることがきっかけでその機械人形が完成するが、それは父の遺言ではなかった。

そこから、徐々に謎を探っていくんだけど、個人的にたまたま、映画史の授業をとっていたからというのもあるけど、映画の歴史の中でジョルジュ・メリエスという人物がしたことのすごさを思い知らされる。
映画が夢だった時代。そして夢を見せてくれるものとして映画が存在していた時代があったということを。この辺りの謎がつながる感じは、すごくドキドキしてテンション上がった。

父の遺した思い、自分の存在意義を探るためにしていたことが、はからずもジョルジュ・メリエスが再び夢を見るきっかけを与えることとなるヒューゴ。
彼は「ここの世界が1つの機械だとしたら、いらない部品なんて1つもない。僕も必要とされているんだ」と語る。少年の小さな行動はつながり、映画人ジョルジュ・メリエスに再び夢を見せるきっかけを与えることとなる。機械の歯車のように。




個人的な話だが、2014年最初に観たのが、この映画となりました。
ストーリーうんぬんより、色々な人の映画への思いがあって、今こうして私が魅了されている多くの映画があるんだと思うと、2014年の映画生活、とてもいいスタートな気がする。
ヒューゴやイザベルのように冒険心を持っていろいろな世界を観て、パパ・ジョルジュが教えてくれた空想することを忘れずに、今年もどっぷり映画に恋していこうと思います。

人生はビギナーズ(2010年)


人生はビギナーズ

マイク・ミルズ監督・脚本によるアメリカ合衆国の映画。ユアン・マクレガー主演。

“「私はゲイだ」 父が75年目に明かした真実が、僕の人生を大きく変えた。”
ポップなメインビジュアルと、キャッチーなコピーを見て、コメディかと思い込んで鑑賞してしまったら、全然違いました。

奥手で、自分から積極的動くタイプではない38歳独身男・オリヴァーが、母を亡くした後ゲイとカミングアウトした父と、最期の時を共に過ごしたことで、少しずつ変わって行く
長年ゲイであることを隠していた父に戸惑いながら、そしてカミングアウトしたことで毎日を楽しみはじめる父に驚きながら、愛に生きた父を知って行くオリヴァー。
簡単に「そうなんだね」と受け入れられる現実ではないが、父が生き生きとしていることこそがリアルな現実となる。

父は亡くなり、孤独の中でひとりの女性と出会い恋をするのだが、オリヴァーは不器用で内向的。そして、母を失い、父を失ったばかりで失うことを恐れている…。オリヴァーが失うことを恐れ自ら関係を終わらせるところは、気持ちが痛く、苦しくなってしまった。


それでも、ラストはすがすがしい。
なんでもうまく行くわけがない人生。辛いことも、受け入れがたいことも、ハッピーだけじゃ生きられないのが人生だ。
「わからないけど、とりあえずやってみよう。どうせみんなビギナーなんだがら」という、スタンスがとても気持ちよかった。信じればうまくいくよ!という、無責任な前向きではなく、当たって砕けろ!の、手放しの冒険でもない、もう少し軽い気持ちのやってみようという感じが、気持ちを楽にしてくれる映画だった。

それも淡々と進む静かなストーリーの中で「あの父もビギナーなりに人生を楽しんだんだ。」という、視点を通して伝わってくるので、押しつけがましくなく、なのに、納得できてしまうのだろう。


ちなみに、この映画は監督の実話を元にしているそうで。
映画監督は、こういう形で親孝行できるのはすてきだな。麦子さんもそんな監督エピソードあったっけ。